2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09218
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAZAEI Mohammad 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 高圧 / 第一原理 / 窒化炭素 / 光学 / 弾性 |
Research Abstract |
固体の相転移に関する高圧研究は、比較的長い歴史があるが、圧力下の液体とガス状分子の性質に関する情報はほとんど報告されていない。分子の中では、ガス状の水素シアン化物(HCN)は、1.3GPaを超える圧力において部分的に重合することが実験で示されている(Phys.Rev.B 1990, 47, 4298-4303)。残念ながら、この高分子相の構造が未知のままで残っていることと、圧力下のそのような重合体の動的形成に関するわずかな理論研究は、時代遅れであって、かつ結論は出ていない。実験結果からパラシアノゲンは平面的な構造を持ち、層間の相互作用は弱いと推定されている。しかし、この構造はグラフェンとは異なり、非局在化したπ電子系を持っていない。本研究ではパラシアノゲンの結晶構造から、いくつか提案されている構造モデルを評価し、真の構造を求めることを目的とした。まず、パラシアノゲンの形成機構に関する実験結果を検証し、高圧下でシアン分子から形成することを明らかにした。高圧でのシアン分子からパラシアノゲンへの相変化を追跡するために、第一原理計算により、どの程度の圧力でパラシアノゲンの平面構造が形成され、それが3次元構造に変化するのかを明らかにした。まず、シアン分子はグラファイト構造に似た平面構造になり、金属的な性質を示す。これは実験結果と一致している。さらに、圧力を高めると絶縁体である相に変化し、そのバンドギャップは3.2eVを示した。この2つの相変態は1次の相変態であった。パラシアノゲンの平面構造は10員環からなり、それは2個のC-C結合、4個のC-N結合、4個のC=N結合から構成され、炭素はsp3の混成を維持していた。
|
Research Products
(6 results)