2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09221
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 早稲田大学, 理工学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHO Jinseok 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 結び目 / 双曲空間 / 量子不変量 / 体積 / チャーンザイモンズ不変量 |
Research Abstract |
結び目の体積予想とは,結び目のジョーンズ多項式を一般化したカラードジョーンズ不変量と呼ばれる不変量のある極限により,双曲結び目の補空間の双曲構造から定まる体積を表すことができるという予想である.この予想については,首都大学東京の横田准教授による結び目の補空間の三角形分割を用いた解釈により,予想自体の証明はされてはいないものの,不変量の極限と双曲構造の関係が明らかにされている.一方,3次元双曲多様体では,体積と並んでチャーンサイモンズ不変量も基本的な量であり,実部を体積,虚部をチャーンサイモンズ不変量としたものを複素体積と呼ぶことにすると,体積予想を複素体積に拡張することができる. 本研究では,双曲結び目に対してその補空間の三角形分割の様子を詳細に調べることで,横田の理論を複素体積にまで拡張した。チャーンサイモンズ不変量は,元々は微分幾何的に定義された量なのだが,ノイマンやジッカートにより,多様体の三角形分割の組み合わせ的構造から定義する方法が開発されている.この方法を結び目補空間の三角形分割に適用すると,カラードジョーンズ不変量とノイマンらの方法とがうまくかみ合い,横田の方法を複素体積に拡張することに成功した. 以上の研究で得られた,カラードジョーンズ不変量と複素体積との関係から,双曲結び目の補空間のチャーンザイモンズ不変量を,カラードジョーンズ不変量から直接計算できるようになった.チャーンサイモンズ不変量の計算は,微分幾何的には非常に難しく,ノイマン・ジッカートの方法を使っても具体的に三角形分割を構成した上での計算となるため大変煩雑だったのであるが,カラードジョーンズ多項式を使うことにより,直接チャーンサイモンズ不変量を計算することができるようになった.
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Research Products
(2 results)