2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09223
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
末松 芳法 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OROZCO SUAREZ David 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 外国人特別研究員
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Keywords | 天文 / 太陽物理学 / 光球 / 偏光観測 / 太陽磁場 / 磁気流体現象 |
Research Abstract |
太陽観測衛星「ひので」の観測により、これまでにない高い空間分解能で偏光分光観測が可能となり、水平磁場・彩層ジェット・極域の強磁場・大規模磁気ロープの浮上現象・粒状班中の単極磁場の出現などの新現象が発見され大きな成果を挙げている。これらはいずれも、対流と磁場の相互作用、ダイナモ機構に関連する極めて重要な電磁流体現象である。これらのデータ解析の成否は、偏光スペクトルデータから、いかに太陽大気の磁場と熱力学的情報を引き出すかにかかっている。「ひので」の偏光スペクトル観測で用いられている鉄原子の630.15nm線及び630.25nm線は光球磁場の導出に有用なスペクトル線であるが、両方の吸収線を一度にMilne-Eddington(以下、ME)近似手法でフィッティングする際に同じ熱力学パラメータが適用できる仮定を行っており、この正当性は今まで確かめられていなかった。本研究では、3次元の太陽光球磁気流体シミュレーションで得られた磁気大気構造を用い、この正当性を確認した。また、1つの吸収線のみを用いるよりも両方の吸収線でフィッティングする方が、より正確な熱力学パラメータ、磁場導出ができることが分かった。また、高時間分解能観測には分光器ではなく狭帯域フィルターによる観測が有利である。但し、波長点数が限られるため、磁場導出に問題がある可能性がある。そこで、気球太陽観測Sunrizeで用いられた鉄の525.0nm線フィルター観測にME近似手法が適用可能かを調べた。観測は、ストークス偏光4成分、波長5点からなり、測光誤差が1/1000の場合、磁場のベクトル成分導出にME近似手法は十分な精度があることが示された。また、ゼーマン分離の大きい525.02nm線の方が、小さい525.06nm線よりも精度が良いこと、望遠鏡回折除去が精度向上に有益であることを示した。
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Research Products
(5 results)