2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09224
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 昌弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEONG KwangSik 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 素粒子論 / 素粒子実験 / 宇宙論 |
Research Abstract |
今年度は、主に次の3つの事柄について研究を進めた。 1.昨年度に引き続き、超弦理論においてしばしば現れるアノマリーをもつU(1)ゲージ対称性を持つ模型について、モジュライ場の安定の機構、超対称性の破れとその伝搬の機構、およびLHCなどの実験での信号について研究を行った。 2.最小超対称標準模型(MSSM)のヒッグスセクターを拡張しPeccei-Quinn対称性を持っているような模型での超対称性の破れのパターンについて研究した。主な動機は強い相互作用のCP問題を解決すると同時にヒッグスのμ項の源を理解することである。この研究では,ゲージ伝播機構における超対称アクシオン模型を構築した。この模型ではアクシオンの超対称スカラー対のポテンシャルの生成に関して,超対称性の破れのメッセンジャーとPeccei-Quinn対称性の破れのメッセンジャーの混合が重要な役割を果たす。このとき,アクシオン超場とヒッグス場との結合によって有効的なμおよび超対称性を破るBパラメータが電弱スケールにうまく現れるようにできることを示した。また,この模型が初期宇宙論に及ぼす影響について論じた。 3.MSSMにゲージー重項場を加えた理論(NMSSM)が更にPeccei-Quinn対称性を持っているような模型を構築し,その性質について調べた。この模型がMSSMの問題であるタッドポール問題やドメインウォール問題を同時に解決することを示した。この模型の興味深い特徴は比較的軽いニュートラリーノが存在することである。このことによりこの模型の現象論的性質はNMSSMのそれとは異なってくる。とりわけ,この軽いニュートラリーノとヒッグススカラー場との湯川結合が低エネルギーでも有効に働き,そのためこの湯川相互作用による量子補正の影響でヒッグス粒子の質量が数GeVほど大きくなることがわかった。
|
Research Products
(2 results)