2011 Fiscal Year Annual Research Report
有効場理論を用いたハドロンコライダー事象のシミュレーション
Project/Area Number |
09F09226
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIRILIN Grigory 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 素粒子物理 / 量子色力学 / 有効場理論 / パートンシャワー / ハドロンジェット / 電子陽電子衝突 / 電子陽電子衝突 / 精密実験 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、電子陽電子消滅による多重ジェット生成に於けるパートンシャワーのジェット軸の非自明な角度分布を、有効場理論SCETの高次元オペレータの行列要素によって再現し、その効果を取り入れたパートンシャワーの計算を実行した。この研究は従来のSCETによるジェット形状分布に関する研究を本質的に発展させるもので、LEP精密実験に於けるZボソンのbクォークジェットへの崩壊角度分布の問題を解明するヒントを与える。この研究成果が世界の研究者達の注目を集め、本研究期間終了後の2011年秋に、Kirilin氏はドイツのBeneke教授の招聘によってアーヘン工科大学に移籍された。 上記SCET有効理論による解析的結果を再現できるパートンシャワープログラムの開発研究の過程で、ソフトグルーオン放出に於ける量子色力学的干渉効果である放出角度の順序則と、実験的なハドロンジェットの構成で必要となるクラスター法、得に相対横運動量順序則によるクラスター法との一致が必ずしも自明でないことが明らかとなり、実験データとの直接的比較によってパートンシャワー生成アルゴリズムを最適化する方針を定めた。過去の電子陽電子消滅実験のデータを、米国SLACのSPEAR、PEP、ドイツのPETRA、日本のTRISTAN、そして、CERNのLEP、LEP2実験から系統的に選択し、その上にハドロンコライダーである米国のTevatronとCERNのLHCに於けるジェットのデータを準備した。 これらの成果は未だ論文として発表するレベルまでは完成していないが、この研究の過程で明らかとなったジェットとパートンシャワーの物理について、2011年10月後半に韓国高等研究所で開催された国際学校「KIAS School on MadGraph for LHC Physics Simulation」で、Kirilin博士が講義を行った。
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Research Products
(1 results)