2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香取 秀俊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU Deshui 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光格子時計 / 極低温 |
Research Abstract |
本研究は、新しい光格子時計の手法を考案し、その実現可能性・性能を明らかにすることを目的とするものである。昨年度は、位相同期による新しいレーザーの安定化手法と光格子時計からのレーザー発振についての理論的考察を行った。 今年度の成果の一つが、浅い青方離調光格子時計における衝突シフトの検討である。これまでに中心となって研究されてきた赤方離調の光格子時計では、同サイトの原子間における衝突シフトの可能性が議論されてきたが、このような浅い青方離調光格子時計の場合、複数サイト間の原子衝突が支配的であることが分かった。そして、赤方離調の場合と同様に、時計遷移励起レーザーと光格子レーザーの光軸のずれによって衝突シフトが発生し、1次元と2次元光格子において角度のずれが10mrad程度の場合、その大きさが10-16程度となることが分かった。 もう一つの成果が、3次元光格子中の原子(88Sr原子を想定)による、フォトニックバンド構造の構築の提案である。フォトニックバンド構造が生成されるか否かを決定づけるのは光格子の幾何学的配置と原子の分極であり、通常のBravais格子と2準位系では実現できないことが知られていた。そこで、本研究では新たに3つめの準位を導入することにより、単純立方格子・面心立方格子でも2つのフォトニックバンド構造が表れることを示した。さらには、フォトニックバンド構造の妨げとなっていた原子の共鳴による吸収の効果も、2つのフォトニックバンド構造によって抑制可能であることを示した。 以上の2件の研究に加え、さらに1件の論文を公表した。
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Research Products
(3 results)