2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香取 秀俊 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU D 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光格子時計 / 極低温 |
Research Abstract |
本研究は、新しい光格子時計の手法を考案し、その実現可能性・性能を明らかにすることを目的とするものである。本年度は、大きな光子散乱レートを持つ魔法波長の光格子中にトラップされた中性水銀原子を用いたレーザーについての研究を行い、ミリヘルツの超狭線幅が実現されることを理論的に示した。 この実験は、極低温に冷却した水銀原子集団を、光格子に捕獲して用いる。ここで、光格子は2つの役割を果たしている。1つめは光格子時計の場合と同様、原子をラム・ディッケ領域に束縛し、かつ魔法波長の手法によってレーザー遷移の光シフトを抑制することである。2つめは、光格子レーザーにより基底準位からレーザーの上準位へのポンピングを行うことである。我々の計算によると、実現されるレーザー光の線幅はミリヘルツの領域であり、出力強度は10^<-9>Wとなると考えられる。また、周波数安定度は1秒で10-^<18>となることが期待され、これは現時点での最高水準の周波数安定度を2桁改善するものである。この超狭線幅のミリヘルツレーザーは、高分解能レーザー分光、量子情報科学や精密周波数計測といったさまざまな分野への応用が期待できるものである。例えば、光格子時計の基準発振器として川いることにより、レーザーの安定度で制限されている光格子時計の周波数安定度が1秒で10^<-18>にまで改善される。この実験の実現に向けた準備も進めており、水銀原子の初段の冷却に必要な、^1S_0→^3P_1遷移に共鳴な紫外光源の開発に成功した。
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