2009 Fiscal Year Annual Research Report
細孔性ネットワーク錯体中での化学反応と内包錯体の物性検討
Project/Area Number |
09F09242
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAHATA Partha 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 細孔性ネットワーク錯体 / 単結晶X線解析 / ゲル |
Research Abstract |
細孔性ネットワーク錯体の研究は、ガス吸蔵の発見以降、爆発的に進んでおり、様々な錯体が今も合成され続けている。しかし、そのほとんどは、構造決定とガス吸蔵量の測定に特化しており、細孔性錯体内の"細孔"の性質は、その多くが未開拓のままであった。本研究では、そのような細孔の"流動性"に着目し、結晶という固体の中でありながらも溶液のような化学が展開できる場として細孔を応用することとした。今回、新しい概念として、"crystalline gel"というコンセプトのもと研究を進めている。細孔性錯体は、大きな空孔を有する一方で、その骨格に用いられる金属や有機配位子の体積、重量比は、一般に50%以下のものが多い。換言すれば、結晶性を維持するために必要な骨格が全体のわずかな割合であっても、X線結晶構造解析ができる"結晶"なのである。同様に添加物の重量比が僅かでもマクロに大きな物性変化があるものの代表例として、ゲルがある。数%ほどのゲル化剤で流動性のある溶液が瞬時にゲルとなる。このゲルと細孔性ネットワークという2つの性質を掛け合わせることで、"結晶性のゲル"という全く新しいマテリアルの創成を目指している。これまで、細孔性錯体において、骨格の占有率がおよそ20%の錯体を合成することに成功した。この錯体を発展させ、10%ほどまで錯体骨格の占有率を落とし、さらにゲル化官能基を内部に修飾することで結晶性ゲルの合成を進めている。
|