2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄錯体によるPCET機構を含む生体型触媒的酸素還元反応
Project/Area Number |
09F09243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 主幹教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAITY Annada C. 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | プロトンメディエーター / 鉄ポルフィリン / 酸素還元反応 / 電極 / 燃料電池 |
Research Abstract |
酸素分子の4電子還元による水への変換は、化学エネルギーの物理エネルギー(特に、電力)への変換を行う基本反応であり、燃料電池陰極(酸素還元極)触媒反応として重要である。生物体内では呼吸末端酸化酵素であるチトクロムc酸化酵素等が卑金属イオンを用いて高いエネルギー効率で化学エネルギーの変換を行っていることから、従来の白金粒子を触媒とした現行の燃料電池触媒のもつ欠点を補うために、卑金属錯体を用いた分子触媒の開発を目的として研究を行ってきた。本年度は次の目標で研究を進め、以下の成果を得た。 (1)電極への固定のためのアンカー分子の合成:金属酸化物の表層をもつ電極への固定のために複数個のリン酸基を有するアンカー分子の合成を完了した。 (2)酸素還元分子触媒の合成とアンカー分子の連結:既に合成法を確立している、プロトンメディエータターとして働くカルボキシル基を鉄ポルフィリン上方に有し、酸素活性化に必須のイミダゾール軸配位子を共有結合で固定したモデル分子(a)、およびプロトンメディエーターの役割を明らかにするために、この部位を持たないモデル分子(b)それぞれの合成を完了し、アンカー分子と結合しとした(それぞれ、分子触媒A,B)。 (3)酸素還元分子触媒修飾電極の作成と電気化学評価:(2)において合成した電極への固定用アンカーを有する分子触媒BをITO電極上に修飾し、中性水溶液中での電気化学評価を行った。その結果、還元開始電位は十分高く可逆的で良好なCV波が観測されITO電極表面上の被覆率も評価した。この結果により、分子触媒修飾電極として燃料電池酸素極触媒への展開に向けて基礎的な検討を成功裏に終えた。
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Research Products
(8 results)