2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒を用いた新しい不斉環化付加反応の開発
Project/Area Number |
09F09249
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 民生 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOH Y.-T. 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒的不斉合成 / キラルジエン配位子 / ロジウム / アリールホウ素試薬 / アゾメチンイミン |
Research Abstract |
研究分担者はまずアゾメチンイミンを反応基質とする新しい触媒的不斉環化反応の開発に取り組んだ.残念ながら当初期待していたようには環化反応は進行しないことが分かり,ロジウム錯体触媒を用いたアゾメチンイミンへの不斉付加反応に研究テーマを移した.研究代表者が世界に先駆けて開発したキラルジエン配位子を用いると,有機ホウ素化合物からアリール基がアゾメチンイミンの炭素-窒素二重結合に高い立体選択性で付加し,高い鏡像異性体過剰率のジアリールメチルアミン誘導体が高収率で得られることが分かった.これまでに開発してきたキラルジエン配位子と比べて,電子吸引性のエステル基を置換基に持つキラルジエン配位子がとくに有効であることが分かり,これを担持させたロジウム錯体を触媒に用いることにより,高い収率および非常に高いエナンチオ選択性で対応する1-(ジアリールメチル)ピラゾリジノンを得ることに成功した。本不斉反応は,いくつかの生理活性化合物の基本骨格をなす光学活性なジアリールメチルアミンを供給できる触媒的不斉合成反応を実現したものであり,有機合成反応としての価値が高い. これらの成果は,アメリカ化学会の有機化学の主要な専門誌であるOrganic Lettersに速報として掲載された.1年間にわたる実験結果の論文数としては一報のみというのは必ずしも多くはないが,反応基質の合成や触媒反応条件の設定など手のかかる実験が研究の中心であり,妥当なところである.
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Research Products
(1 results)