2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATHRIARAC HCHIGEDON Suresh 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 炭素-炭素結合生成 / 鉄触媒 / 鈴木-宮浦カップリング |
Research Abstract |
有用物質供給の基幹技術として有機合成化学の重要性は今後ますます増大することは明らかであるが,それと同時に,現行の資源大量消費型の有機化学工業の再構成,すなわち有機合成プロセスの省資源化,資源活用化の重要性が認識されつつある.新規化学変換反応の発見による,新たな分子構造構築法の開発や新規出発物質の開拓が,この合成化学の変革期の中心課題であることに疑いの余地は無い.本研究では,このような背景の下,安全・安価な鉄を使う炭素-炭素結合生成反応の位置および立体選択性の精密制御を達成し,更に有用物質合成へと応用することを目標としている.今年度は,昨年度見出したアルキルホウ素化合物を求核剤,ハロゲン化アルキルを求電子剤とする鉄触媒鈴木-宮浦クロスカップリング反応の最適化を行った.その結果,有機ホウ素化合物の活性化剤として,2級のアルキルマグネシウム反応剤を用いた場合に80%程度の高い収率で目的化合物を得ることができるようになった.一般的に有機ホウ素化合物の活性化には,塩基やフッ化物イオンを用いるが,本反応では全く効果がなかった.用いる有機ホウ素化合物はボラン(BH3)とオレフィンのハイドロボレーションより簡便に調製することが可能であり,エステルやニトリル等の極性官能基が共存可能である.これは,従来の鉄触媒アルキルーアルキルカップリングに比べた優位点であり,この特徴を生かした,医農薬中間体などの機能性材料の合成へと応用が期待される.
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