2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09252
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八島 栄次 名古屋大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QI Shenli 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル / 立体規則性 / らせん構造 / 光学活性 / フラーレン |
Research Abstract |
研究代表者らは、最近、分子のキラリティーに応答して光学不活性なシンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(st-PMMA)に一方向巻きのらせんが誘起され、しかもその形を記憶として長時間保存できるという、極めてユニークな現象を発見している。また、得られたらせん内側の直径約1nmの空孔にフラーレンが包接されることも見出している。本研究では、このst-PMMAを用いたらせん構造の制御とゲスト分子包接を基盤技術として用い、らせん構造を有するst-PMMAの側鎖や空孔内に機能性官能基を配列制御した機能性高分子の合成を行った。 Ziegler触媒を用いた重合により合成したst-PMMAの側鎖のメチル基を、酸存在下、加水分解することにより、部分的にカルボキシル基を側鎖に有するポリマーを得た。つぎに、その側鎖部分にカルバゾール基をエステル結合を介して修飾したコポリマー(st-PMMA-Cz)を合成した。得られたst-PMMA-Czがらせん構造をとり、C_<60>を包接するかどうか試みた結果、カルバゾール誘導体の導入率が10mol%以下の時に、st-PMMA-Cz/フラーレン複合体を形成することに成功した。この複合体はカルバゾール部位とフラーレンが電荷移動錯体を形成するため、優れた有機エレクトロニクス材料として働くことが期待される。実際に、8mol%のカルバゾール部位が導入されたst-PMMA-Czに20wt%のC_<60>が包接された複合体は、WORM (write once, read many times)メモリー効果を示すことを見出した。今後、これらの複合体の電子特性をより詳細に検討し、優れたメモリーデバイスや有機薄膜FETの開発を目指す。
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