2009 Fiscal Year Annual Research Report
水分解を目的とした広帯域太陽光ハーベストデバイスの開発
Project/Area Number |
09F09257
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平尾 一之 Kyoto University, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Zhenxuan 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 水素発生 / ナノ結晶 / アップコンバージョン / モスアイ構造 / 光触媒 |
Research Abstract |
太陽エネルギーにより水を完全分解することで水素を得ることを目的に、可視光領域に大きな分光感度を有するTiSi2(チタンシリサイド)を光触媒とし、構造や形状制御、あるいは波長変換とを組み合わせた広帯域太陽光ハーベストデバイスの開発を実施している。現在、高周波スパッタ装置によりTiとSiとを積層させ、不活性ガス中で熱処理することで元素拡散によりTiSi2が形成されることを確認し、収束イオンビーム(FIB)やレーザーによる形状制御を試みている。また、高効率化を実現するためには、TiSi2表面での反射損失を低減させ、材料内部への光閉じ込め効率を向上させる必要があることから、最適なモスアイ構造や周期構造の設計を平衡して行っている。加えて、太陽光中の赤外光を可視光に変換し更なる高効率化を実現するために、アップコンバージョンによる波長変換が可能なNaYF4:Er3+ナノ結晶の作製を開始した。具体的には、酸化イットリウムと酸化ユウロピウムを希硝酸中に溶解、加熱後に得られる生成粉末を、polyvinylpyrrolidone、NaCl、NH4F、エチレングリコール中で攪拌し還流処理を行った後、得られた生成物を遠心分離により集め、水、エタノール、アンモニア混合溶液中に分散させ、最終的にナノ結晶を得る。得られたナノ結晶が、NaYF4:Er3+であることを確認するために、SEMやTEM、XRDを用いて粒子の表面形状や構造解析を実施する。同時に、このナノ結晶によるアップコンバージョン効率を、ナノ粒子に近赤外光を照射することで得られるアップコンバージョン発光のスペクトルと発光強度とを測定することで求め、目的とする波長領域の発光が得られているか否かを確認するシステムを構築した。また、高効率に重要となる結晶サイズや粒径分布を制御するための方法も模索中である。
|