2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体中の自己組織化プロセスに基づく新しいナノ界面材料の開発
Project/Area Number |
09F09259
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU J 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 希土類錯体 / 自己集合 / 発光 / ナノ界面 |
Research Abstract |
本研究は,イオン液体やDeep Eutectic Sovent(DES)中において発達したナノ会合構造を与える新しい機能性分子を開発し,その分子組織特性を明らかにするとともに,新しい高分子ナノ材料としての機能展開をはかることを目的とする.本年度は,希土類金属錯体を含む新しい両親媒性化合物を合成し,発光特性ならびに分子集合特性について検討した.具体的には,疎媒部として長鎖アルキル基,親媒部として2つのピコリン酸基を有する両親媒性化合物(1)を合成した.はじめに,メタノール中においてテルビウムイオンとの錯体形成について検討した.ESI-MSスペクトルから,Tb(III)と1の混合比に依存して,Tb(III)/1錯体およびTb(III)/(1)_2錯体を形成することが分かった.これらの錯体の蛍光スペクトルを測定したところ,テルビウムイオンに由来する緑色発光が観測された.またこの発光は,ピコリン酸基からテルビウムイオンへのエネルギー移動による発光であることを確認した.つぎに,水中におけるテルビウム錯体の発光特性ならびに自己集合について検討した.両親媒性分子(1)の水溶液にテルビウムイオンを加えたところ,テルビウムイオンに由来する発光を示したことから,水中においても錯体が形成されることが分かった.また,テルビウムイオンと両親媒性分子(1)を1対1のモル比で混合し,透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った.その結果,100nm程度の球状集合体が確認された.球状集合体の表面には親水性のテルビウム錯体部位が自己組織化されていると考えられる.このようなナノ界面は,生命分子の分子認識場として興味が持たれ,テルビウムイオンに配位した水分子との交換により,蛍光増強型のバイオセンシングナノ界面として期待される.
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