2010 Fiscal Year Annual Research Report
バングラディシュの深層帯水層における持続可能な低ヒ素水資源の探索
Project/Area Number |
09F09288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真野 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN MD.Tauhid-Ur 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ヒ素汚染 / 分配係数 / 吸着・脱着反応 / 持続可能性 |
Research Abstract |
バングラディシュでは、水系感染症のリスクを避ける目的で、WHOやunicefが主導し地下水の利用が進められた。しかし、ガンジスデルタの広い範囲で、地下水が自然由来の高濃度ヒ素に汚染されていることがわかり、慢性ヒ素中毒が広がった。特に浅い帯水層の地下水でヒ素濃度が高く、深さが100mを超える深層帯水層では濃度が低いことが、これまでの筆者らの調査で明らかにされている。しかし、深層地下水を汲み上げ続けると、上層にある高濃度ヒ素に汚染された地下水が下方に移動し、深層地下水を汚染するリスクが考えられ、水資源の持続可能性が損なわれる。 本研究では、現地において各深さの帯水層および地下水を採取し、ヒ素の溶出・吸着特性を調べ、低ヒ素深層地下水の取水持続可能性を調べることを目的とするものである。 実験室における分析の結果、浅い帯水層の地下水にはヒ素を多く含んだ鉱物から有機物の作用によりヒ素が溶出していることがわかった。したがって、有機物を多く含んだ年代の新しい帯水層の地下水は利用することができない。一方、鉄やアルミニウムの酸化物はヒ素の吸着能力が高く、表面積が大きい細粒土砂では94%、中粒径の土砂では72%の吸着能をもつことがわかった。したがって、ヒ素をほとんど含まない深層帯水そうから取水した場合、浅層で溶出し高濃度にヒ素で汚染した地下水も、中間の地層を通って、深層に達するまでに吸着が進みヒ素の濃度が下がることを意味している。この研究成果は、安全な水を持続的に確保したいという要求に応えるものであり、地質学者や、水資源の管理者が、地下水を利用するに当たっての重要な指針となるものである。
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Research Products
(10 results)