2009 Fiscal Year Annual Research Report
生理指標を用いた都市環境の快適性評価と環境計画への応用
Project/Area Number |
09F09293
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 良文 Chiba University, 環境健康フィールド科学センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 宙営 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 自然環境 / 森林 / 河川 / 生理応答 / HRV / リラックス |
Research Abstract |
本研究では、人のこころや感性を重視した快適な都市環境の整備に向け、都市環境の快適感を客観的に評価することを目的とする。その一環として、都市環境を大きく人工環境と自然環境に分類し、それぞれの環境に対する人の生理・心理応答を調べた。特に、自然環境については、植生で構成される森林環境と、水で構成される河川環境に分けて検討を行った。今回は、環境を認識する上で最も重要な感覚器官である視覚を介して認識される景観に注目し、都市景観、森林景観、河川景観を見た時の人の生理・心理応答を、室内実験により検証した。被験者としては、20代の健常な男子大学生19名とし、実験は温熱環境の制御が可能な人工気候室内で実施した。自律神経活動の指標となる心拍変動性 (HRV)を分析した結果、副交感神経活動の指標であるHF(2分間の平均)は、河川景観において、都市景観(p<0.05)と森林景観(p<0.01)に比べ、有意に高いことが明らかになった(対応のあるt検定)。また、主観評価の結果では、快適感、鎮静感、自然感において、森林景観と河川景観共に都市景観に比べて、有意に高い点数が得られた(p<0.01、ウィルコクソン符号付順位和検定)。これらの結果は、人は生理的にも、心理的にも自然景観と接したときに、リラックスすることを裏付けている。特に、心拍変動性を用いて河川景観の生理的リラックス効果を明らかにしたことは新知見である。本研究結果から、快適な都市環境を構築するためには、都市空間の中に自然的環境要素を積極的に取り入れた計画が重要であることが明らかとなった。一方、今回の研究は室内実験による結果であるため、実際の環境がもたらす生理的・心理的効果を明らかにするためにはフィールド研究による再検証が必要である。
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Research Products
(4 results)