2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09296
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折茂 慎一 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厳 義剛 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素貯蔵 / 錯体水素化物 / 水素 / イットリウム / メタセシス / ボロハイドライド / リチウム / 熱分析 |
Research Abstract |
高密度水素を含む金属ボロハイドライドを合成して、その原子構造や微細構造および分解-再結合反応などの基礎特性を系統的に評価することにより、水素貯蔵(放出-再吸蔵)機能を解明することを目的とした研究を進めている。今年度、Y(イットリウム)系ボロハイドライドY(BH_4)_3を、エーテル中でのメタセシス反応により合成してこれらの評価を進めた結果、以下の成果が得られた。(1)粉末X線回折・中性子回折・第一原理計算などを用いた解析の結果、LiBH_4とYCl_3との陽イオン交換反応により合成されたY(BH_4)_3(黄色粉末)の原子構造は立方晶構造であることが判明した。(2)また、熱重量・示差熱分析の結果から、高温相への相変態や融解反応を経て約460Kから水素放出反応が開始し、中間化合物の生成を伴う多段反応により約8mass%の水素が放出されることが実測された。(3)さらに、水素放出後の試料に対して、35MPaの高圧水素中、523Kでの再水素化処理を行った結果、部分的ながら再吸蔵反応が進行することも明らかとなった。これらの結果から、Y(BH_4)_3においても、これまでに報告されているLiBH_4やMg(BH_4)_2などの他の金属ボロハイドライドと同様に、分解-再結合反応に伴う水素貯蔵(放出-再吸蔵)機能が発現することが確認できた。この成果は、金属ボロハイドライドを次世代水素貯蔵材料として機能化する上で極めて重要な知見であると考えている。
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Research Products
(6 results)