2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスを受けた大腸菌における細胞膜損傷の解析とその食品殺菌への応用
Project/Area Number |
09F09304
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土戸 哲明 Kansai University, 化学生命工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUI H.T. 関西大学, 化学生命工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 熱ストレス / 大腸菌 / 蛍光タンパク質 / 細胞膜損傷 / 食品殺菌 / rpoE遺伝子 / 表層ストレス / プロモーターアッセイ |
Research Abstract |
本研究は、食品やその製造環境および農業製品における有効な殺菌・保存方法の適用に関する応用的知見を得るため、大腸菌を汚染モデル細菌とし、加熱や低温ショックや薬剤の単独・併用処理の作用による応答機構を明らかにすることを目的として行い、本年度は、加熱ストレスに応答するプロモーター発現レシオメトリックレポーター用ベクターの構築とその発現条件を検討した。当初の計画通り、レポーター用ベクターとして、rpoE遺伝子自身由来のσ^E因子認識プロモーターをもつ強化型緑色蛍光タンパク質(EGFP)と非ストレス時に作動するlacUV5プロモーターをもつ赤色蛍光タンパク質(mCherry,RFP)の両遺伝子をもつレシオメトリック発現用ベクター、pTwoFP-PrpoEを構築した。また、対照ベクターは双方ともlacUV5プロモーターのpTwoFP-controlである。この発現ベクターを用いて、蛍光のレシオ値を培養時間や加熱温度などの条件下で比較することによって発現挙動を明らかにした。そして、加熱処理により、rpoE発現は最大約8倍に上昇することがわかり、このアッセイ法の有用性が示された。ただ、いずれも、部分的に蛍光タンパク質が細胞外に漏洩する現象がみられ、これを含む全量測定による評価は可能であるが、細胞内量評価では課題を残した。なお、今年度計画では、ストレス応答用プロモーターとして、rpoEのほか、rpoH,rpoS,oxyR,soxRS支配のものも検討すること、またn-アルカノール処理によるプロモーターアッセイも行う予定であったが、良好な発現を示すベクター構築に時間を要したため、次年度に持ち越した。
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