2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスを受けた大腸菌における細胞膜損傷の解析とその食品殺菌への応用
Project/Area Number |
09F09304
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土戸 哲明 関西大学, 化学生命工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUI H.T. 関西大学, 化学生命工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 熱ストレス / 大腸菌 / 蛍光タンパク質 / アルカノール / 細胞膜損傷 / rpoE遺伝子 / 表層ストレス / 食品殺菌 |
Research Abstract |
大腸菌を汚染モデル細菌として加熱と薬剤(n-アルカノール)による細胞の表層ストレス応答と細胞膜損傷機構を明らかにし、その知見をもとに食品やその製造環境および農業製品における有効な殺菌・保存処理の有用な設定条件を提出することを目的として検討を行い、以下の結果を得た。 1)外膜と内膜(細胞質膜)の損傷評価のための局在化GFPuvの構築…大腸菌BL21にそれぞれ目的の場所にGFPuvが発現するよう設計した形質転換体を用い、発現量に対する培養時間や温度などの影響を検討して条件を設定した上で、各種形質転換体に発現させたGFPuvが、それぞれ目的の場所に局在化されているかどうかを細胞分画法によって検討した。その結果、細胞質とペリプラズム画分への局在化はある程度確認できたが、外膜と内膜への局在はかなり少なく、実験方法の更なる改良が必要であることがわかった。 2)レシオメトリックレポーターGFPを用いた表層ストレス応答誘導におけるプロモーター活性の評価…前年度に構築した実験系を用い、新たにLacIリプレッサーをもたないKP7600系の大腸菌に高温あるいはn-アルカノール処理を施し、それによる表層傷害に起因する表層ストレス応答誘導について、対照のlacUV5プロモーターと目的遺伝子であるrpoEのプロモーターの支配下においたEGFPおよびmCherry(RFP)の発現量比から応答誘導の程度を評価した。その結果、41~43℃の高温処理とともにn-アルカノールによってもrpoEプロモーターの活性が上昇することが判明し、とくに調べた中ではn-ペンタノールによる活性化が顕著であった。 以上の結果は、食品の低温加熱殺菌や薬剤併用処理条件の設定における情報を提供する上で意義深いものである。
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