2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスを受けた大腸菌における細胞膜損傷の解析とその食品殺菌への応用
Project/Area Number |
09F09304
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土戸 哲明 関西大学, 化学生命工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUI HuongThi 関西大学, 化学生命工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 熱ストレス / 大腸菌 / 蛍光タンパク質 / 細胞膜損傷 / 食品殺菌 / rpoE遺伝子 / 表層ストレス / プロモーターアッセイ |
Research Abstract |
前年度に引き続き、モデル汚染細菌としての大腸菌における加熱と薬剤(πアルカノール)による細胞の表層ストレス応答と細胞膜損傷機構を明らかにし、得られる知見から食品やその製造環境および農業製品における有効な殺菌・保存処理の有用な処理条件を導出することを目的として研究を実施した。当該年度の検討項目は以下の3点であり、それぞれ次の結果を得た。 1)レシオメトリックGFPレポーターを用いた表層ストレス応答制御因子活性のプロモーターアッセイ 発現レポーターとしてのGFP(試験目的プロモーターの活性評価用)とRFP(赤色蛍光タンパク質;通常プロモーターlacUV5の活性評価用)のレシオメトリック転写レポーターベクターを発現させた大腸菌細胞を用い、熱・n-アルカノールによる表層ストレス応答誘導の程度(σ^E因子支配のプロモーター下流のGFP発現による蛍光強度比の上昇によって測定)について、培地の変更、培養温度の低下、誘導時間の短縮による誘導条件の検討を行った結果、とくに低温培養によってある程度の改善が認められた。 2)細胞表層局在化GFPによる細胞膜損傷の解析 表層各部位局在化の改善について検討したが、細胞質とペリプラズム局在化は目標のレベルに達していたが、内膜と外膜への局在の改善は見られなかった。そこで、外膜局在センサーの開発は断念し、その他のもので熱とアルカノールによる細胞膜損傷の検討を行った。生存率が2~3%となる60℃4分の加熱、20%エタノール、0.75%n-ペンタノールの処理で、各部位局在GFPの遊離によって評価したところ、エタノールと熱は外膜のみ透過性破壊を生じ、ペンタノールは内・外両膜の透過性の破壊が示された。 3)GFP発現・局在化系の食品殺菌プロセスにおけるモニタリングツールとしての応用 GFP発現・局在化系の遺伝子組換え菌の製造現場では困難であるが、食品殺菌効果の評価のための試験室スケールや模擬テストとして可能と考えられる。実際の食品を用いた応用例を想定していたが、上記1,2の実験系の確立に期間を要し、検討に至らなかった。
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Research Products
(2 results)