2010 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅法のための超伝導転移端マイクロカロリメータの開発
Project/Area Number |
09F09307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RATHNAYAKA Mudiyanselage T.D. 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | センサ / ガンマ線 / スペクトロスコピー / 材料欠陥解析 / カロリメータ / エネルギー分解能 |
Research Abstract |
TES(Transition Edge Sensor)は超伝導体を常伝導状態と超伝導状態の中間で動作させることで、常に素子がジュール熱により発熱し、放射線入射に伴う温度上昇が生じると、それにより素子が常伝導状態に近づくため、抵抗値も高くなり、発熱量の減少が生じ、速やかに冷却がなされ、安定に動作させるとともに、このようなフィードバック制御で高速に動作させることができる。このため、高エネルギー分解能と高速性を両立させることのできる放射線スペクトロメータとして期待されているものである。本研究は、材料中の欠陥を高感度に計測することのできる陽電子消滅分光のために、陽電子消滅ガンマ線である511keVという高いエネルギー領域で動作可能な新しい高分解能TESマイクロカロリメータの開発を行りものである。このような高いエネルギー領域で必要な検出効率を得るためには、密度・原子番号の大きな吸収体を必要とする。そごで、本研究では鉛を吸収体として用いたガンマ線マイクロカロリメータの開発を行うこれまでに、本研究では、1mm×1mm×0.75mmのサイズの鉛吸収体を200um×200umのサイズのTESに導電性エポキシの接着剤を用いて接続し、662keVのガンマ線に対して、4.7keVのエネルギー分解能が得られた。しかし、信号の立ち下がり時定数は2成分が観察され、一方が3.1ms、他方が135msと非常に長いものであった。そこで、今年度はこの徳定数の改善を行った。まず、吸収体を小さくし、0.7mm×0.75mmとし、TESとの接続についてはフリップチップボンディング技術を用いて導電性エポキシを量を正確に制御し、またTESの膜に与える悪影響を押さえるように配慮した。この結果TESの時定数は大幅に改善され、短い時定数が1.9ms、長い時定数が29.3msとなった。一方エネルギー分解能自体は、9.2keVと先の分解能よりも悪くなった。この理由としては、吸収体の吸収位置による依存性などが考えられ、今後実験的に評価を進めていく予定である。
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