2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜ラフト領域に細胞内シグナル分子が結合し働く機構:1分子追跡法による解明
Project/Area Number |
09F09314
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠見 明弘 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHADDA Rahul 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | 1分子追跡 / 細胞膜 / ナノ集合体 / 情報変換 / 可塑的分子複合体 / ナノドメイン |
Research Abstract |
細胞膜上のラフト領域は、細胞のシグナル変換やウィルス感染など、重要な生理/病理過程に関与している。しかし、実際にどのように機能するかについては、ほとんどわかっていない。本研究では、以下の方法によって、ラフトの形成機構と作動機構の解明を目指す。(1)我々が開発してきた高速1分子追跡法を駆使し、ラフトへの分子の出入りを直接観察する。(2)本研究をおこなう外国人特別研究員のRahul Chadda博士が成功した、ラフトをさまざまな方法で大きくしたり、安定化したりする方法を用いる。さらに、このようなラフトの成長や安定化の機構を明らかにすることによっても、ラフトの形成と機能の機構を明らかにする。 昨年度には、本研究で検討する分子のうち、ラフト分配分子であるCD59と、非分配分子である不飽和リン脂質の1分子追跡をおこなって、それらの分子が、どのようにラフト領域と非ラフト領域の間を行き来するかを調べる方法を確立した。そこで、本年度は、どの程度頻繁に行き来するか、どちらの領域に濃縮されるか、あるいは、2つの領域の間の境界に濃縮することはあるのか、各領域の中での拡散係数はどれくらい違うか(+各々の分子毎にこれらはどの程度異なるか)、などを、詳しく調べた。CD59は、単分子の状態では、両者の領域を移動したが、会合体を形成させると、境界近くのラフト領域側に蓄積された。また、拡散係数は、ラフト領域内の方が30%程度小さかった。これは、様々なラフト分子、非ラフト分子で調べても同様であった。また、CD59はラフト領域に数倍多く濃縮されたが、それが、分子レベルでの両領域の境界での反射率の違いによるのかどうかはまだはっきりとした結論が得られておらず、さらに継続して検討を続けている。
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