2009 Fiscal Year Annual Research Report
コケ窒素同位体を用いた東京西部における大気窒素沈着状況の把握
Project/Area Number |
09F09316
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
木庭 啓介 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Xueyan 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 大気沈着窒素 / コケ / 窒素同位体比 / 酸素同位体比 / 硝酸 / 同位体分別 |
Research Abstract |
2009年11月に来日後、微量安定同位体比測定の記述を修得し、現在、コケの安定同位体位比測定法について検討を開始した。コケに含まれる微量の硝酸は、降水硝酸の同位体シグナルを保存していると考えられるが、どのように抽出するべきかという方法論、さらには体内での同化によってどのような同位体分別が生じるかといった生理特性については全くわかっていない。そこで、現在、園芸用に栽培されたコケをモデルケースとして、乾燥方法、週出方法についての検討を行っている。 コケの硝酸還元能力は極めて高く、凍結乾燥させた試料では、硝酸抽出中に体内に保存されていた硝酸が還元され、低い濃度、高い同位体比を示してしまうことが判明した。現在、恒温で硝酸還元活性を止めた上で、有機物の阻害などの影響を受けずに硝酸同位体比測定が可能であるか、最適プロトコルを探索中である。 コケの硝酸吸収能力とその同位体分別の関係を明らかにすることがコケ同位体比を降水の指標として利用する際には必要であり、現在、室内培養実験を行い、コケの硝酸吸収速度の大小と、その時に発揮される同位体分別について明らかにしようと試みている。窒素と酸素の分別の比は、0.5から1とこれまで植物プランクトンで報告されている値に近く、硝酸同化における同位体分別については、同様なメカニズムで制御されていることが示唆された。現在、更に実験を進め、この窒素酸素比が安定であるのか、さらには他の種類のコケでも同様なのかについて議論を行う予定である。
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Research Products
(1 results)