2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースと無機物の複合化による先進的ナノマテリアルの開発
Project/Area Number |
09F09324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
空閑 重則 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Shilin 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | セルロース / ヒドロゲル / エアロゲル / ナノコンポジット / シリカ / 熱伝導率 |
Research Abstract |
アルカリー尿素系溶剤からの再生で得られるセルロースゲルを無機物と複合化して高機能ナノ材料を創成しようとしている。 1.NaOHの代りにLiOHを用いる効率的なセルロース溶解法を確立した。この方法ではセルロース原料を溶剤に懸濁して凍結-融解するだけで溶解するので、脱気操作なしに透明な溶液が得られる。これにより実用的な工業プロセスの展望が開かれた。 2.鉄塩の水溶液をセルロースヒドロゲルに含浸してからアルカリ性にして析出させることにより、酸化鉄をゲル内合成することに成功した。酸化鉄担持ゲルを普通乾燥あるいは溶媒置換乾燥することにより、密実あるいは多孔性のセルロース-酸化鉄複合材料が得られる。これらの磁気的。電気的物性を評価して応用を探索する予定である。 3.セルロースにケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)を含浸して酸処理することにより、上記と同様にセルロースーシリカ複合体を調製する手法を確立した。密実乾燥した固体は一定の柔軟性を持ち、新しい機能性材料となりうる。またエアロゲル化したものは高空隙率でありながら透明度が高く、断熱材としての利用が期待できる。 4.上記に関連して、セルロースエアロゲルの熱伝導率を測定する装置を自作した、それを用いて様々なシート材料の熱伝導率を測定したところ、熱伝導率の計測値は試料の厚さに強く依存することが分かった。文献値に相当する値を得るには厚さが5mm程度必要だことが判明した。これを用いて得られたセルロースエアロゲルの熱伝導率は0.03W/mK程度であり、発泡ポリスチレンと同程度であった。
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