2010 Fiscal Year Annual Research Report
顧みなれない原虫病の創薬:薬用植物由来クアシノイド類の薬物動態に関する研究
Project/Area Number |
09F09336
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片倉 賢 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELKHATEEB A.M. 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | クアシノイド / 薬用植物 / Brucea javanica / Trypanosoma evansi / bruceine A / 抗原虫活性 / トリパノソーマ症 / 顧みなれない熱帯病 |
Research Abstract |
アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)やリーシュマニア症は発展途上国で蔓延している原虫性疾患であるが、経営戦略の問題から大手製薬会社が手をつけない「Neglected Tropical Diseases」(NTD、顧みなれない熱帯病)として知られている。これらの原虫病の治療には安全で安価な治療薬の開発が望まれている。申請者らは、薬用植物から天然の抗寄生虫活性物質を含む植物の探索を行い、ニガキ科の薬用植物であるBrucea javanicaに含まれるクアシノイド類が強力な抗トリパノソーマ原虫(Trypanosoma evansi)活性を持っていること、およびクアシノイドの構造と活性とに相関があることを明らかにしてきた。平成22年度の本研究課題では以下の研究成果が得られた。1)効率的なbruceine類の単離、精製法の確立のため、Burucea javanicaの乾燥果実の抽出方法について検討を加え、UPLC MS/MS分析でターゲットの化合物の含有量を見積もり、乾燥果実粉末を一度熱湯抽出する手法が有効であることを見いだした。これをもとに、大量の乾燥果実より目的の化合物をそれぞれ単離することができた。2)Bruceine類の作用機序の解明を目的としたラベル類縁体の合成を試みた。すなわち、生物活性を有する重水素ラベルbruceine類が合成できれば安定同位体顕微鏡システムを用いて標的器官の同定が可能となることから、種々のbruceine類のアセチル誘導体を合成し、現在、その活性の測定を行っている。3)Bruceine類の動物体内動態を明らかとするために、ラットにbruceine Aを筋肉内注射し血液中での存在を確認したところ、Bruceine A由来の分解産物が期待される保持時間で観察され、被検の化合物が血液中に含まれていることが確認できた。
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Research Products
(5 results)