2010 Fiscal Year Annual Research Report
一本鎖抗体によるトリパノソーマ原虫表面分子の構造解析
Project/Area Number |
09F09337
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉本 千尋 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIA Honglin 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 外国人特別研究員
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Keywords | 一本鎖抗体 / ラクダ科 / ラマ / 組換え抗体 / トリパノソーマ / 治療用抗体 |
Research Abstract |
トリパノソーマ原虫によるヒト、家畜の感染症について、熱帯諸国で手軽に実施できる診断法や効果的な治療法の開発が求められている。ラクダ、ラマなどラクダ科動物はH鎖一本から成る単一鎖抗体を作り出すことが知られている。この単一鎖抗体のコンパクトな抗原結合部位の構造と高度の熱安定性(100℃の加熱にも安定)という性質を利用して、特に通常の哺乳動物・鳥類抗体が認識し得ない構造に対する抗体が得られる可能性が高い。本計画では、哺乳動物に病原性を有するトリパノソーマの表面蛋白質に対する単一鎖抗体を作製し、それを利用して蛋白質の構造、機能解析を行うと同時に治療への応用を図るものである。 前年度に得られた原虫抗原に反応するファージクローンに含まれる抗体遺伝子断片を大腸菌発現ベクターに組み込み、GSTとの融合蛋白質として発現させた。しかし、可溶性蛋白質として得ることが困難で、精製も困難であった。融合パートナー、発現条件などをさらに検討し可溶性画分を得ることが今後必要である。一方、原虫の病原性に関与すると考えられるIgE依存性Histamine Releasing Factor(HRF)遺伝子をクローニングし、その局在、機能解析を行った。本分子は血流型ならびに昆虫型の原虫の細胞質に発現されていることが確認できた。RNAiにより、本分子の発現を抑制したところ、48時間培養後の発育原虫数がわずかに減少した。今後、マウスの免疫細胞の機能に本分子がどのように影響を及ぼすかを検討する。
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Research Products
(3 results)