2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物内生細菌の機能を利用した難防除植物病害の生物的防除法の開発
Project/Area Number |
09F09340
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土屋 健一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOANG LONG 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 内生細菌 / 抗菌物質 / Solaum nigrum / 植物生育促進細菌 / Ralstonia solanacearum / IAA / ACCd |
Research Abstract |
これまで生物的防除素材の微生物としては、根圏細菌を利用した研究が主流であったが、我々はさらに内生細菌を新たな候補として加え、植物と微生物との相互反応を分子生物学的手法等を用いることにより解明し,その知見に基づき新たな生物的防除法開発の展開を図る.そこでナス科野生種植物Solanum nigrumから77菌株の内生細菌を分離し、それぞれ-20~40℃で中長期保存した。これらについて、同植物の根の伸長性に対する影響を調べた結果、これまでに37分離株に顕著な促進効果が認められた。その中から最も強い植物生育促進性(plant growth promotion: PGP)を示す5菌株を選抜し、今後の試験用とした。根の伸張性と1-アミノシクロプロパン-カルボキシル酸デアミナーゼ(ACCd)活性との間には相関が認められ、またこれらの菌株はACCdに加えてインドール酢酸(IAA)を産生することを見出し、PGP活性との関連性が示唆された。さらにこれらの菌株が、in vitroでナス科青枯病菌(Ralstonia solanacearum)に対する強い抗菌活性を有することが分かった。これまでの結果から、選抜された内生菌はナス科青枯病菌の有望な生物的防除素材となりうると考えられた。以上の結果について、日本植物病理学会大会(2010.4/18-20京都)において学会発表し、また論文作成中である。今後16S-rRNAの塩基配列に基づく種レベルの同定、分離細菌の系統解析を行う。また抗菌活性能について抗菌物質の同定、ファージあるいはバクテリオシン産生性等についての検索を行い、さらに細菌間の密度調整や病原細菌における病原性関連遺伝子の発現に密接に関与するとされる情報伝達機構であるクオラムセンンシング(Quorum sensing)機構等の研究へと発展させる。
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