2009 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞と抗原提示細胞の相互作用における接着分子CADM1とCRTAMの役割
Project/Area Number |
09F09341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN Chi-Chih 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | CADM1 / CRTAM / MITF / 抗原提示 / 糖鎖 / CADM2 |
Research Abstract |
本研究は細胞接着分子であるCADM1とそのheterotypicなリガンドであるCRTAM分子との相互作用は抗原提示の役割の一端を担うか否かを中心軸にして研究を進めています。免疫系においてCRTAMは活性化したごく一部の細胞のみに一過性として発現するので、CADM1も恒常的発現でないと予測できます。従って、我々は先ずCADM1の転写発現を注目しました。既報(Blood 101 p2601、2003)により、肥満細胞において転写因子MITFがCADM1遺伝子の転写に関与することが明らかにされました。一方、MITFの高発現するメラノーマ細胞(Trends Mol Med 12 p406、2006)においては我々の予備実験での観察によりCADM1が豊富に発現することを確かめました。そこで我々は幾つか種類のメラノーマ細胞にレンチウイルスベクターshRNAでMITFの発現をノックダウンしてメラノーマ細胞のCADM1発現変化を検討しました。そして我々はMITFノックダウンされたメラノーマ細胞において普遍的にCADM1の発現が上昇することを観察しました。免疫細胞においてB細胞はMITFの高発現細胞であり(J Exp Med 200 p115、2004)、また外来抗原で活性化したB細胞はplasma細胞に変化する際にMITFの発現が低下することが最近報告されました(J Immunol 183 p1179、2009)。このMITFの発現低下現象がB細胞のCADM1発現にどんな変化をもたらすか、並びにB細胞の抗原提示能にどんな影響を及ぼすかについて今後検討する予定です。他方、CADM1は盛んに糖鎖修飾された糖タンパクであり、発生の各段階につれてCADM1の糖鎖修飾パターンが著しく変動し、その上これらの糖鎖修飾が同じタンパクファミリーのCADM2分子とのheterotypicな結合に大いに影響を与えることがラットの脳神経細胞において報告されました(J Neurosci 27 p12516、2007)。これらの報告成績を踏まえ、免疫系においてCADM1の糖鎖修飾及びその変動は如何に関連分子との相互作用に寄与するかについて大変興味が持たれ、この方向の検討も併せて行う予定です。
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