2009 Fiscal Year Annual Research Report
躁うつ病治療薬の脳内ミクログリアと末梢モノサイト系細胞への影響の包括的検討
Project/Area Number |
09F09343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富田 博秋 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU Zhiqian 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | リチウム / 単球 / 樹状細胞 / ミクログリア / マイクロアレイ / MMP9 / MACS |
Research Abstract |
双極性障害の病態とその治療薬リチウムの奏功機序への免疫機構の関与のメカニズムを解明することを目的とする本研究の第一段階として、本年度はリチウムを投与したマウスの脳内ミクログリア、樹状細胞と末梢血単球細胞の遺伝子発現プロファイルへの影響を検討した。C57BL/6マウスにリチウムイオン含有(600mg/L)または非含有の飲料水を2週間経口投与した.その脳からNeural Tissue Dissociation Kitsを用いて単細胞に解離し、CD11bマイクロビーズによるMACS法でミクログリアを,また,CD11c(N418)で樹状細胞を単離した.更に,同じマウスの末梢血液からCD11bを用いて単球を単離した.各サンプルから総mRNAを抽出して,イルミナ社のMouseWG-6 v2マイクロアレイで包括的な遺伝子発現を比較した.データの解析は各プローブのSignal Intensity(信号強度)をIllumia BeadStudio 3.1ソフトウエアにて抽出し,Average Normalizationを行った後,GeneSpring GX 10.0ソフトなどにて発現プロファイルの解析を行った.その結果,リチウムの投与によってマウスの脳樹状細胞,ミクログリア及び末梢単球において共通に上昇した遺伝子として297個(20%以上増加),共通減少した遺伝子として257個(20%以上減少)の遺伝子群を特定した.並行して行ったヒト末梢単球へのリチウムの投与実験により変動した遺伝子群との間で共通して増加した3つの遺伝子と共通に減少した2つの遺伝子を特定した.この中にはこれまでに双極性障害の病態関連遺伝子として知られる遺伝子を含んでおり,この遺伝子は気分障害の早期治療・早期発見に有用な特異的血中マーカーとしての開発が期待できる.
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Research Products
(15 results)