2010 Fiscal Year Annual Research Report
躁うつ病治療薬の脳内ミクログリアと末梢モノサイト系細胞への影響の包括的検討
Project/Area Number |
09F09343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富田 博秋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU Z. 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 躁うつ病 / リチウム / ミクログリア / 脳樹状細胞 / モノサイト / マイクロアレイ |
Research Abstract |
リチウムの双極性障害治療における有用性は確立しているもののその効果には限界があり,また,作用機序に不明な点が多いため,より有効な治療薬の開発や治療反応性の予測が難しい.一方,脳内の単球系細胞であるミクログリアや樹状細胞が双極性障害を含む中枢神経疾患の病態の進行や改善に関与していることが示唆されており,双極性障害の罹患者では末梢単球から樹状細胞への分化が障害され,自己抗原に対するT細胞反応が抑制され,リチウムの投与により双極障害罹患者における単球から樹状細胞への分化阻害が改善することが報告されている.申請者らはリチウムの単球系細胞への影響を介した双極性障害への奏功機序を想定して,前年度,リチウム投与によるヒト単球から樹状細胞への分化プロセスに及ぼす影響に関わる分子群のスクリーニングを行ったのに引き続き,本年度はリチウム投与により末梢単球と脳内単球系細胞に共通に影響を受ける分子群を特定するための研究を行った.リチウム(600mg/L)を2週間経口投与したマウスと非投与対照マウスの脳と末梢血から抗CD11b,CD11c磁気ビーズ抗体を用いて,ミクログリア,脳樹状細胞,末梢単球を分離し,各細胞から抽出した総RNAの遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイで比較解析した.両年度の解析結果を併せて検討したところ,リチウムがヒト単球から樹状細胞に分化誘導する際に発現を顕著に促進する分子群とリチウムがマウス脳内単球系細胞において顕著に発現を促進する分子群との間に共通性がみられ,リチウムはこれらの分子群の発現誘導を行うことで単球系細胞機能に影響を及ぼすことが想定された.この結果はリチウムの単球系細胞への影響を介した双極性障害への奏功機序の解明に有用と考えられる.
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Research Products
(6 results)