2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける多環芳香族炭化水素/ニトロ多環芳香族炭化水素の分析法と環境動態
Project/Area Number |
09F09346
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
早川 和一 Kanazawa University, 薬学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 英 金沢大学, 薬学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 海水 / HPLC |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素(PAH)は発がん作用や内分泌かく乱作用を有する。大気や水などの環境中のPAHの動態のうち,海洋中のPAHは外洋に出るほど濃度が極めて低くなるために,濃度レベルに関する知見は極めて少ない。従って,海洋資源として重要な魚などを含む海洋生態系への影響については,もっぱら高濃度で影響を調べた実験のみで,低濃度での研究は皆無である。そこで,本研究は,これまで殆ど明らかになっていない海洋中の主要PAHを測定することを目的に,超高感度な分析法の開発を行った。即ち,ODS系分析カラムを用いた従来のHPLC-蛍光検出システムに,大量海水にも耐性を示すポリマー系濃縮カラムとスイッチングバルブ,送液ポンプを組み込んだ自動濃縮HPLC-蛍光検出システムを構築し,PAH吸着防止のための添加有機溶剤の種類と濃度,試料の導入量と流速,カラムスイッチング時間などの最適条件を求めた。その結果,このシステムにより,2~6環の15種類のPAHが,僅か100mLの試料を導入するだけで,これまでに報告されている最も高感度なGC-MS法より約2桁高感度(定量下限0.002~0.5nL^<-1>)に分析できた。次に,いくつかの大学・研究機関所属の調査船並びに商業客船に採水器を搭載して,日本海を航行中に中央域の数点で表層海水を採取した。採水した海水100mLを開発したシステムに適用した結果,日本海中央域のPAHのバックグラウンド濃度を初めて求めることができた。
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Research Products
(1 results)