2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位センサーを持たないATP受容体チャネルP2X2の膜電位依存的構造変化の解析
Project/Area Number |
09F09350
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KECELI MehmetBatu 生理学研究所, 分子生理研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 生体分子 / 蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ATP受容体チャネルP2X2は、細胞外ATPの結合により活性化される受容体型イオンチャネルである。ホモ3量体で構成され、1つのサブユニットは2つの膜貫通部位を持つ。その膜貫通部位には、膜電位センサーと考えられる電荷を持つアミノ酸残基のクラスター等は存在しない。しかし、P2X2チャネルは、膜電位依存的活性化を示す。我々は、P2X2チャネルの、リガンドである細胞外ATP結合による活性化、膜電位依存的活性化に伴う、構造変化を捉えることを目指し、研究を進めている。これまでの我々の点変異体D315Aを用いた研究により、ATPの結合部位とゲーティングがおこる膜貫通領域をつなぐリンカー領域は、活性化シグナルの伝播に重要な役割を果たすことが明らかになっている。そこで、活性化に伴い構造変化がおこると考えられるD315Aの近傍にCys残基を導入し、Cys修飾剤による修飾を、電流の変化する速さとして捉えることにより、Cys修飾剤の近寄りやすさ、すなわち、活性化に伴う構造変化を捉える実験を行った。その結果、まず、ATP非存在下よりも、ATP存在下の方が、電流の変化、すなわち修飾の速度が速いことが明らかになった。次に、ATPが存在し続ける状態で、過分極電位と脱分極電位での電流の変化の速度を比較したところ、過分極電位で速いことが明らかになった。すなわち、ATPの結合によって、構造変化が起こるのみならず、膜電位の変化によっても、確かにリンカー領域で構造変化が起こることが明らかになった。この結果は、ATP受容体が膜電位依存性チャネルの側面を有することを、構造変化の側面から捉えたものである。
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Research Products
(3 results)