2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイトメガロウイルス潜伏感染に対する自然免疫応答の解析
Project/Area Number |
09F09352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEUNG Allen Ka Loon 東京大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 自然免疫 / 核酸認識受容体 / サイトメガロウイルス / シグナル伝達 / 感染・再活性化 |
Research Abstract |
ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)感染症は世界中で見られ、多くの人々が幼少時期に不顕正感染後、潜伏感染の形で生涯保有者となる感染症である。通常hCMVの潜伏感染は健常人に特別な害を及ぼさないが、胎児や未熟児、臓器移植患者、AIDS患者、先天性免疫不全患者など免疫抑制状態下で再活性化し、種々の重篤な病態を引き起こす。しかしながら、既存のDNA polymeraseを標的とした抗CMV薬などではいずれも一時的な症状の回復がみられるものの、特にAIDS患者においては多くでhCMVの再活性化が起こる。現在、潜伏感染したhCMVを完全に駆逐する方法はなく、潜伏状態を対象とした治療法も確立されていない。このため本研究ではマウス細胞を用いてmCMVの潜伏感染を再現する実験系を構築するとともに、mCMVに対する自然免疫担当細胞による認識応答を解析する。mCMVはDNАをゲノムに保つウイルスであり、近年の自然免疫系活性化機構の解析から、細胞質に存在する核酸認識受容体群(cytosolic PRRs)がその認識に重要な役割を果たしていることが明らかとなりつつある。平成21年度には、我々が見いだしたDNA認識による免疫応答に関与すると思われる遺伝子、DNA-dependent activator of IRFs(DAI)について、DAI分子がウイルス由来の核酸を認識し免疫系を活性化しているかどうか、また、その他の細胞室内核酸認識受容体との関連についても解析を進めた。その結果、DAIの核酸認識における役割は細胞種に依存して応答が異なることがDai遺伝子欠損マウスを用いた解析から明らかになった。これらの解析により得られた知見を基に、mCMVの感染・再活性化の制御への応用を目指し、マウス細胞及び動物モデルを用いてCMV潜伏感染の治療モデルの構築を検討する。
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Research Products
(5 results)