2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物療養のためのカプセル型メソポーラスシリカ構造の開発
Project/Area Number |
09F09502
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
有賀 克彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JI Qingmin (独)物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | メソポーラス物質 / カプセル / 薬物放出 / センシング / 交互吸着膜 / DNA |
Research Abstract |
本研究では、新規なナノ構造体として「メソポーラスシリカカプセル」の開発を行う。メソポーラスシリカカプセルは、薬物を封入できる内部空孔と、生体高分子を固定化できる表面の多孔構造を有している。さらに、シリカ素材は生体親和性に優れる。これらの特性を利用して、メソポーラスシリカカプセルの薬物デリバリーへの応用を検討した。今年度は、シリカ粒子自体を鋳型として自身を溶解させながらカプセル形成を行うという新手法を開発した。この手法で合成されるカプセル構造は、無機の構造を持ちながら柔らかく構造変化できるカプセル構造が保たれ、最適な薬物放出機能を後から調節できる画期的な構造体となった。本年度は、主流のカプセル作製研究の他に、いくつかの顕著な研究成果も得られた。例えば、グラフェンとイオン液体を交互吸着することに世界で始めて成功し、その構造を水晶発振子などのセンサー表面に固定化することによって、芳香族化合物に対する極めて鋭敏かつ選択的なセンサーを開発することに成功した。また、白金からなる口のあいたカプセル(メタリックセル)の作製にも成功した。この白金構造は一酸化炭素の酸化などの自動車触媒機能を有する。特に、メタリックセル内部の白金サイトは、粒子に凝集による表面積現象の影響を全く受けないので、高温において触媒粒子の凝集が起きるような環境下においても触媒活性を保つことがわかった。その結果、従来に粒子状の白金触媒に比べて、同じ触媒活性を得るための白金量が10分の1から20分の1に抑制できることがわかった。これは、レアメタル使用量削減において極めて有用な知見である。
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Research Products
(11 results)