2010 Fiscal Year Annual Research Report
大気CO2増加に対する水稲成長応答の品種間差異のメカニズムの解明
Project/Area Number |
09F09515
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 利拡 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHU C.W. 独立行政法人農業環境技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 気候変動 / イネ / 大気CO_2濃度 / 光合成応答低下 / 遺伝的変異 / FACE / 温暖化 |
Research Abstract |
大気CO_2濃度の上昇は光合成を促進し作物収量にプラスの影響を与えるが、これまで品種によっては高CO_2による増収効果が異なることがわかりつつある。それらの品種の応答低下の程度を、他の品種と比較するとともに、その違いをもたらす生理的・生化学的機構を明らかにできれば、CO_2施肥効果の向上に役立つものと考えられる。そこで、本研究では、日中開放系大気CO_2増加(FACE)実験でCO_2応答が特徴的であった品種を供試して、同一の実験プラットフォームで比較実験を行なう。さらに、応答低下の程度を解析することによって、品種間差異のメカニズムの解明を試みる。 本年度は、茨城県つくばみらい市に開設したFACE実験施設にて、開放系水田条件で高CO_2濃度処理(外気+200ppm)を行い、品種の生理、収量応答を比較した。供試品種はShanyou63(SY)、86you 8 hao (86)、コシヒカリ(KH)である。これまでの報告と同様に、FACE処理は籾収量を増加させたが、SYの増収率は40%以上と他の2品種と比べて大きかった。光合成速度は、生育前半にはいずれの品種もFACE処理によって増加したが、生育後半にはKH、86では高CO_2に対する応答が低下したのに対し、SYでは30%以上の促進が維持された。葉身の窒素濃度は、KH、SYで生育後半にFACE処理によって明らかに低下したが、SYでは処理の影響は認められなかった。以上から、籾収量のCO_2増加、水温上昇に対する品種間差異とガス交換との間には関連性が認められ、光合成の応答低下の小さい品種が高CO_2による増収率が高かった。また、光合成の高CO_2に対する応答の低下には、葉身窒素のCO_2応答の品種間差異が関連する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)