2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境依存的なイネの分げつ形成におけるストリゴラクトンの機能の解析
Project/Area Number |
09F09517
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 信次郎 独立行政法人理化学研究所, 促進制御研究チーム, チームリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
リ ウェイチャン 独立行政法人理化学研究所, 促進制御研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | 植物ホルモン / イネ / 分げつ / ストリゴラクトン / 環境応答 |
Research Abstract |
植物の枝分かれ(分げつ)は、さまざまな内的・外的因子により複雑に制御されている。本研究では、腋芽の成長を抑制する新たなホルモンとして最近明らかにされたストリゴラクトンが、種々の環境因子による枝分かれの制御にどのように関与するのかを解明することを目的としている。昨年度までに、ストリゴラクトン欠損変異体を用いた実験から、ストリゴラクトンは塩ストレスによる分げつ数の低下には必須ではないことが示された。また、イネの内生ストリゴラクトンである2'-エピー5-デオキシストリゴールの根における内生量は、塩ストレス処理によっても大きくは変化しなかった。一方、最近の研究により、イネには2'-エピー5-デオキシストリゴール以外にも多様なストリゴラクトン分子種が存在することが報告された。そこで本年度は、塩ストレス時におけるストリゴラクトンの動態をより詳細に解析するため、広範なストリゴラクトン分子種の検出が可能な根寄生植物の種子発芽刺激活性を指標とした生物検定法を用いた。その結果、塩ストレス処理はストリゴラクトン総体の内生量を大きく変化させることはないこと、また既知のストリゴラクトン生合成酵素遺伝子の発現は、分げつを抑制するような塩ストレス条件下においても大きくは変動しないことが確認された。一方、同じ水耕栽培条件において、無機栄養分の低下によって引き起こされる分げつ抑制には、ストリゴラクトンが重要な役割を果たすことが示された。以上の実験から、塩ストレスによる分げつ抑制は、無機栄養飢餓時のそれとは異なるメカニズムで引き起こされることが示された。
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