2010 Fiscal Year Annual Research Report
気候モデルの大気境界層過程の改良とその現在気候・将来気候予測へのインパクト
Project/Area Number |
09F09602
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
鬼頭 昭雄 気象庁気象研究所, 気象研究部, 部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN Sun-Hee 気象庁気象研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 大気境界層 / 気候モデル |
Research Abstract |
気象研究所の大気海洋結合モデル(気候モデル)の構成要素の一つである大気境界層過程の改良と解析を行った。大気境界層は、大気下層数百メートルから1~2キロメートルのよく混合された層であり、陸面・海面と大気境界層との間で熱・水・運動量の交換がなされている。熱帯海洋上などで現れる積雲対流は、この大気境界層に根を持ち、十数キロメートルの高さまで熱を運び、大気中の熱を放出し、大気循環の駆動源となる。そのため気候モデルでは、大気境界層による熱・水・運動量輸送の表現能力のよしあしは、大気対流圏全体の温度・水蒸気場や熱・水循環などの日変化、ひいては気候場再現性に大きな影響を与える。 境界層過程のクロージャー定数と混合長の評価方法の改良を行い、その影響を詳しく調べた。その結果、新しい方法では、従来の方法よりも地表面の放射強制による日変化に敏感に応答して境界層の厚さが深くなり、効率的に鉛直混合が起こる事がわかった。その特徴は、特に熱帯海洋上や夏半球の大陸で顕著であった。また、従来の方法に比べて温度場や湿度場のバイアスを低減する事ができた。改良した境界層スキームは、熱や水を効率良く鉛直へ運ぶため、対流性不安定度が大きくなり、東インド洋や西太平洋で強い降水の表現が良くなり、それに応答した大規模場の収束発散場が観測に近くなり、空間相関やバイアスを改善する事ができた。
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Research Products
(3 results)