2011 Fiscal Year Annual Research Report
新2次元結晶 : 単層BNナノシートの創製とその場電気特性評価
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09F09612
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
板東 義雄 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 最高運営責任者
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZENG H. 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | 窒化ホウ素(BN) / グラフェン / ナノシート / ナノリボン / 電気特性 / 熱伝導性 / 酸化亜鉛 / 電界放射 |
Research Abstract |
最近、炭素の単層のナノシートとしてグラフェンに注目が集まっている。単層であるが故に、ユニークな電気的、機械的、光学的な性質が現れる。窒化ホウ素(BN)はグラファイトと同様の層状構造を有し、グラフェンと同様に単層のBNグラフェンが生成できうると予想される。本研究では、ソフト化学法と物理的剥離法を組み合わせて、BNナノシートを創製し、その原子構造や新規な特性を明らかにすることを目標としている。 まず、数ミクロン径のBN粒子を強い極性溶媒であるDMF(dimethylformamide)中で遠心分離機で撹拌・剥離する方法で、BNのナノシートを作製した。生成したナノシートの厚みは2~10nmで、単層のナノシートの作製は極めて困難であった。このために、多層から成るBNナノチューブをポリマー中に包含し、アルゴンイオンによるプラズマエッチングによる新規な手法を用いて、多層のBN層を剥離し、単層もしくは数層から成るナノリボン状の形態をしたBNナノシートを作製することに成功した。グラフェンに対比して、我々は単層のBNナノリボンをWhite Grapheneと命名した。プラズマの照射条件により層厚みが変化し、最適なエッチング条件では単層のBNナノリボンが作製できることが明らかになった。単層の原子厚みは約0.5nm~1.0nmであった。この厚みはグラフェンの場合と類似していた。さらに、TEMによる原子構造の観察では、ナノリボンの表面エッジはジグザグ型の原子配列をとり、また内部には三角形状の格子欠陥が多数形成されていることが明らかになった。TEMに組み込んだSTM試料ホルダーを用いて、BNナノリボン単体の電流-電圧(I-V)特性の測定を行った。その結果、BNナノリボンは絶縁体でなく、半導体であることが明らかになった。この実験結果は理論結果ともよい一致を見た。 また、Chemical Blowingと呼ばれる新規なCVD法でBNナノシートを創製した。本手法は数nm厚さのナノシートを大量に合成することに適しているが、単層のナノシートを作成することは困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにおおむね順調に進展したと思われる。これまで困難とされてきた、単層のBナノシートをプラズマエッチングと言う新規な合成法を用いて、創製することに成功した。さらに、TEMを用いてその原子構造の直接観察に成功し、さらにナノシートの電気特性をTEM化でその場観察することにも成功した。また、厚さが数層から成るBNナノシートの大量合成法を開発することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマエッチング法によるBNナノシートの創製はその大量合成の点で改善の余地が求められる。剥離法やプラズマエッチング法以外の新規な合成法の開発が必要である。BNナノシートの優れた熱伝導特性を活かしてポリマー等とのナノコンポジット化による絶縁性高熱伝導材料への応用展開が期待される。
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Research Products
(2 results)