2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09616
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉永 悟志 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲収量性研究チーム, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SIOPONGCO Joel De La Cruz 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲収量性研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | 水稲 / 多収 / 根 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
平成22年度は、大きく分けて2つの実験を遂行した。それぞれの試験の目的と概要は以下の通り。<試験I>:湛水条件での稲の根の下層土への伸長と下層根の機能については未知の部分が多い。一方、インド型多収品種は根の下層土への貫入力が大きいことを前年度の試験で明らかにしている。そこで、インド型多収品種の下層根における窒素吸収特性を明らかにするために、根圏の中層をパラフィンとワセリンの混合物で作成した円盤状の板(ディスク)を用いて根圏の上部と下部を分割して、15Nで標識した肥料を層別に施用した。その結果、(1)施肥窒素の利用率は基肥では下層が高く、追肥では表層が高いこと、(2)インド型品種のタカナリは下層根での吸収窒素の葉身への分配が高まること、などが明らかになるとともに、(3)根の下層への貫入力の品種間差が再確認された。(3)の形質については遺伝解析を実施予定。 <試験II>:水稲作での登熟期の落水時期は地耐力の向上と関連し,収穫機械の作業効率に大きな影響を及ぼす。そこで、圃場での登熟期の早期落水が稲の登熟や収量に及ぼす影響を検討した。出穂後15,25,35日での落水条件を設定して登熟期のサンプリング調査を実施した結果、(1)早期落水により千粒重が低下する傾向があるものの明確な収量差は生じないことや、(2)登熟期の窒素分配において早期落水が穂への窒素分配を促進すること、などが明らかとなった。窒素分配の変化については,落水処理による登熟の促進や玄米の窒素含有率と関連する重要な形質と考えられる。本試験については、年次変動を解析するため、本年度も同様の試験を実施予定。 上記2試験の結果については、前者は昨年の試験結果と合わせて研究論文としての投稿準備中である。また、後者(圃場試験)については、本年度の試験を加えて取りまとめ予定である。
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