2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09616
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
吉永 悟志 National Agricultural Research Organization, 作物研究所稲収量性研究チーム, 上席研究員
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SIOPONGCO Joel De La Cruz 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲収量性研究チーム, 外国人特別研究員
|
Keywords | 水稲 / 多収 / 根 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
これまで、水稲多収研究では、主として葉身の光合成能や稈・葉鞘中の非構造性炭水化物の動態など地上部形質の評価や解析が行われてきているが、地下部の形質と多収性との関連については、深根の機能の重要性についての詳細は不明のままとなっている。 研究期間の開始時期にあたる今期は、多収品種の根系の形態特性や養水分吸収に関する深根機能の品種間差について解析を行うための予備試験を実施した。深根の機能を評価するための手法として根圏の中層をパラフィンとワセリンの混合物で作成した円盤状の板(ディスク)を用いて根圏の上部と下部を分割し、ディスクを貫通した根で構成される下層の根(深層根)とディスク上部に分布する根(上層根)の空間に分割して、窒素や水分の吸収能と根系分布との関係を明らかにすることを計画している。このためには、根のディスクへの貫入力の品種間差を明確にするとともに、ディスクの固さと貫入程度との関係を明らかにする必要がある。そこで、タイプの異なる3品種(コシヒカリ;普通品種、べこあおば;中間型多収品種、タカナリ;インド型多収品種)を用いてディスクの組成や培地の種類が根の貫入程度に及ぼす影響について検討を行った。 その結果、(1)ディスクの組成としてはパラフィンに対するワセリンの比率を高めることで根の貫入数が増加し、ワセリンの混合率50%程度が根圏の分割に適当であること、(2)品種間ではインド型品種のタカナリにおいて根の貫入数が多く、貫入力に品種間差があること、(3)砂と土壌を用いた培地の比較では両者の差は認められず、培地の種類が貫入力に及ぼす影響は小さいこと、などが明らかとなった。これらの知見をもとに、ディスクの組成と培地を決定し、現在養水分吸収の評価のためのモデル試験を開始している。
|