2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネ抵抗性遺伝子下流の防御応答シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
09F09617
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
高辻 博志 National Institute of Agrobiological Sciences, 耐病性研究ユニット, ユニット長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Xinqiong 独立行政法人農業生物資源研究所, 耐病性研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / いもち病 / 真性抵抗性 / WRKY型転写因子 / Rタンパク質 |
Research Abstract |
イネのいもち病'真性抵抗性'遺伝子(R遺伝子)の単離が進み、そのほとんどがCC-NBS-LRR構造をもっていた。感染認識はRタンパク質によるいもち病菌因子の直接・間接的分子認識に基づいているが、下流への病害応答シグナル伝達についてはほとんどわかっていない。近年、オオムギのうどんこ病菌に対するRタンパク質MLA10が、感染認識後に核移行し、転写抑制因子型のWRKY型転写因子とタンパク質間相互作用してシグナル伝達することが報告され、シグナル伝達機構解明への突破口が開かれた。一方、研究代表者らは、CC-NBS-LRR型穂いもち病ほ場抵抗性遺伝子産物Pb1が、誘導抵抗性に関わる転写活性化因子のWRKY45と相互作用することを見出した。以上の事実は、Rタンパク質からWRKY型転写因子へのシグナル伝達の一般性と同時に、Rタンパク質とWRKY型転写因子の組合せがシグナル伝達の特異性を決定していることを示唆している。 この仮説の検証のため、本年度、病徴の形状や接種法による病徴の違いが顕著な4種の真性抵抗性系統の原因となるRタンパク質とイネの8種のWRKY型転写因子とのタンパク質間相互作用を酵母2ハイブリッド法を用いて調べた。その結果、4種のRタンパク質はいずれもWRKY45と酵母細胞内で相互作用し得ることがわかった。また、4種のRタンパク質のうち2種は、WRKY45以外にWRKY66と、別の2種はWRKY66,62,47とも相互作用することがわかった。GSTプルダウン実験の結果、4種のRタンパク質はいずれもWRKY45およびWRKY66と試験管内で相互作用することがわかった。Rタンパク質とWRKY66との相互作用は新規な事実であり、新たなシグナル伝達経路の存在が示唆された。
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