2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットマルチカラーラベリングによる間葉系幹細胞を用いたがん治療の基礎研究
Project/Area Number |
09F09619
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
植村 壽公 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LONG Xiaohui 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 量子ドット / 坑ガン作用 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞(MSCs)は、骨髄などに存在し、骨、軟骨、筋肉、脂肪などに分化する多能性幹細胞であり再生医療の細胞ソースとして期待されている。最近、このMSCsとがん細胞の相互作用が注目を集めている。MSCsの微小環境はガン細胞の増殖に影響を与えるシグナルを発していると考えられるが、そのメカニズムは全く解明されていない。本研究はそのモデルシステムの確立を目的としている。 癌細胞に対するMSCsの効果を調べるための3種のモデルシステムを確立した。1)MSCsを培養した培養液を用いた間接的な相互作用を調べる系、2)チャンバーを用いた間接的な相互作用を調べる系、3)直接接触による直接的相互作用を測定する系である。また、癌細胞として肝癌細胞(HepG2),子宮がん(HeLa)細胞株を用い、MSCsとして、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSCs)を用いた。結果を以下に要約する。 1)MSCsを培養した培養液(MedMSCs)を用いてHepG2, HeLa細胞の増殖を検討したところ、その効果は添加するMedMSCsの量比に依存し、低濃度では増殖亢進、高濃度では増殖阻害効果が見出された。 2)このシステムにより両細胞の同時培養をフィルターにより隔離された状態で増殖特性を調べた。hMSCs/Cancer cellsの比が低い場合は増殖率が高く、hMSCs/Cancer cellsの比が高くなると増殖率は低くなる。間接的な相互作用により、癌細胞の増殖特性は大きく影響を受けることが分かった。 3)直接的相互作用を調べるため、癌細胞、幹細胞をモータリン抗体を用いたラベリング法を用いて量子ドットでラベルし、評価検討した。2種類の細胞を培養すると互いに近づくように遊走が起こる。更に、FACSを用いた詳細な解析を行うためのモデルシステムを確立した。現在詳しい解析を進めている。
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