2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットマルチカラーラベリングによる間葉系幹細胞を用いたがん治療の基礎研究
Project/Area Number |
09F09619
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
植村 壽公 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LONG Xiaohui 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 間葉系幹細胞 / がん細胞 / 量子ドット |
Research Abstract |
間葉系幹細胞(MSCs;Mesenchymal stem cells)は、骨髄などに豊富に存在し、骨、軟骨、脂肪などの間葉系細胞に分化する多能性幹細胞であるが、最近、このMSCsとがん細胞の相互作用が注目を集めている。MSCsがガン化の起こっている組織部位にホーミングし、ガン細胞の増殖に影響を与えることが発表されたからである。また研究グループによってがん細胞への増殖効果が異なる。細胞治療など臨床学的にも重要な問題であるが故に、信頼できるモデル系の構築が重要である。外国人特別研究員のDr.Longは、このメカニズムを明らかにするため、癌細胞として肝癌細胞(HepG2),子宮がん(HeLa)由来樹立細胞株、MSCsとして、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSCs)を用いて、培養液を関した相互作用、インサートチャンバーを用いた実験系、および異なる波長特性をもった量子ドットをがん細胞、MSCsに導入し共培養した直接相互作用観察系ではFACSを用いて詳しく両者の相互作用を検討した。その結果、がん細胞の増殖性は、MSCsとの共培養系では、細胞比に依存し、MSCsの低比率での存在下では、がん細胞の増殖は亢進されるが、MSCsの高比率存在下では、むしろ増殖は抑制されアポトーシスが誘導される。この増殖への影響は、さらに定量的PCR,immunoblot解析などを行い、シグナル伝達系としてERK/MAPK,P13Kパスウエイが強く関与することを、この実験モデル系から見出し、モデル系の有効性を示した。この詳細な原因遺伝子、タンパク質を調べるため、プロテオミクス解析を行い、候補タンパク質の検索を行った。
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