2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルビジネス環境における企業経営と倫理・文化に関する研究
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09F09701
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
村田 潔 Meiji University, 商学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LENNERFORS Thomas Taro 明治大学, 商学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 企業経営 / 文化 / 倫理 / 異文化 / 日本 / 中国 |
Research Abstract |
本研究はグローバルビジネス環境における現代企業の経営と倫理・文化との関係を明らかにすることを目的とし,とりわけ日中企業間での取引における文化的・倫理的問題の解決に向けた具体的な方策の提案を行うことを最終的な研究成果としてあげるべく研究計画を立てている。本年度は主として日本における企業倫理・企業文化に関する従来研究のサーベイを中心に研究を実施した。 サーベイの焦点は,(1)系列のあり方に関するもの,(2)日本の伝統的雇用慣行に関するもの,(3)日本の哲学・倫理に関するものの3点におかれた。(1)からは,系列が組織横断的な協力,相互信頼,気配りといった価値を育てる仕組みであるという知見が得られた一方で,系列企業間における格差のような系列につきもののさまざまな問題が系列の構造的倫理問題としてとらえることが可能であるという見解を得た。 また(2)については,終身雇用と年功賃金に代表される日本的雇用慣行が,必ずしも西欧企業における人的資源管理と全く異質なものであるとは言えないという理解に達した。 さらに(3)に関しては,和辻哲郎,湯浅泰雄の所説を中心としてサーベイを行い,さらに西田幾多郎,井筒俊彦,鈴木大拙らの文献に触れる機会を得て,西欧の哲学・倫理の伝統と日本のそれとを比較検討することができた。両者の類似点,相違点は,企業経営と倫理・文化との関係を国際比較研究を通じて解明する上で,不可欠な知識となる。 こうした文献サーベイを行う一方で,日中企業間での取引における文化的・倫理的問題の実態を知るための資料を得ることを目的として,アンケート調査票の開発を行っている。現状ではパイロット調査票を作成した段階であり,今後,有効な調査票の完成に向けて予備調査を行う予定である。
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