2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙推進イオンエンジンからのマイクロ波漏洩と伝搬に関する研究
Project/Area Number |
09F09705
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
國中 均 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BODENDORFER MT Cheal 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 宇宙インフラ / 宇宙探査 / イオンエンジン / マイクロ波放電 / 無電極放電 |
Research Abstract |
宇宙航空研究開発機構では、2003年に「はやぶさ」小惑星探査機を打ち上げ、2005年に目的天体いとかわ小惑星にランデブーを果たし、2010年の地球帰還に向けてその途上にある。この宇宙航行には、日本独自に開発したマイクロ波放電式ECR型イオンエンジンが大きく貢献した。宇宙技術としてイオンエンジンへの要件は、長寿命と高信頼である。欧米が開発と宇宙実証を進める型式のイオンエンジンでは、プラズマ生成に消耗性の放電電極を用いており、寿命限界がある。これに対し、マイクロ波は無電極放電のため、寿命限界の問題は根本的に解決される。一方、マイクロ波漏洩は、通信に多用される周波数と干渉することが危惧される。数値解析と実験を組み合わせて、漏洩電界の低減化を目指す。イオン源のマイクロ波漏洩に関する設計手法を確立することは、マイクロ波放電式イオンエンジンの有用性を高め、利用範囲を拡大することに寄与する。初年度は、Finite-Different Time-Domain(FTDT)時間領域差分数値解析法を主体に実施した。イオン源からのマイクロ波漏洩は主にプラズマ生成容器とイオン加速グリッドの接合部に僅かな隙間から、また中和器ではプラズマを噴出するノズルを介して発生していると考えられる。大きな容積を占める導波管やプラズマ生成容器部と、微細な漏洩部を統一的に解析するには、細密な計算メシュを必要とするため、計算機に多大なメモリや処理能力を要求する。これに対処するため、CUDA(Compute Unified Device Architecture)を用いて高速大規模演算を可能にし、イオン源および中和器内部のマイクロ波伝搬の解析に成功した。次年度は実験的なアプローチを計画しており、そのための実験技術に関して基礎的なサーベイを行った。ホイラーキャップ、電波暗室、電波透過真空容器の仕様を調査した。
|
Research Products
(2 results)