2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09708
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹原 宏之 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 華珍 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国俗字 / 日本国字 / 日本製異体字 / 字誌 / 漢字語 / 新漢語 / 医学語彙 / 日蔵漢籍 |
Research Abstract |
当課題では、中国・日本などの文献の調査、辞書や専門書の探究・分析などの研究方法を用い、巨視的と微視的な観点をもって日中間の漢字について比較を行い、かつ現代・過去の事実を互いに補うことによって、言語文化の融合に関する各種の考証を行った。 蘭学・英学の文献を通時的視点によって検討し、中・日の新漢語についての源流と変遷の実態を究明した。具体的な漢字語の個々の由来に関する調査研究を進め、日中語彙交流史における古代漢語の役割を再検討した。同時に、近代日中の同形語の変遷過程を再現し、従来の研究上の不足を補いつつ、掘り下げた。近代を中心とする日中語彙の比較研究は、日本語学、中国語史及び日中文化交流史研究の重要な課題であり、それらの視座をもって、数多くの先行研究を検討した。語彙の相互流動はきわめて複雑で、かつ文献資料も多く存在するため、それらの体系的な捕捉を試み、その経緯を明らかにすることに努めた。西学東漸の背景の元で、判断が難しい漢字語を取り上げ、由来と交流の考察を行い、日中語彙交流の様相を再現した。 また、変体漢文で書かれた資料における語彙の調査を踏まえ、古代中国と日本の写本における俗字の変異について、重点的に考察した。俗字を中心とする日中の漢字比較研究は、近代の漢字研究に不可欠なポイントであり、更に漢字の伝播及び変異に関する研究の重要な内容となるものでもある。俗字が日本に伝播した初期の時代を視野に入れながら、現在に至るまでの成果を十分に検討しながら、日中間で字種・字体などが相互に影響した新たな実例を明らかにした。 これまでの期間内に実施した研究に関する総括を行い、近代の日中間における漢字・漢語の交流の歴史に対する研究として、複数の成果を公開した。
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Research Products
(4 results)