2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子プロープを用いた脂質ラフトにおけるタンパク質ーリン脂質相互作用の構造基盤解明
Project/Area Number |
09F09715
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 道雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GORETTA Sarah 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脂質ラフト / コレステロール / スフィンゴミエリン / 脂質二重膜 / スフィンゴシン / 蛍光標識 / Huisgen反応 / 化学合成 |
Research Abstract |
脂質ラフトは、スフィンゴミエリン(SM)およびコレステロールを主体とする細胞膜ドメインである。また、脂質ラフトは、特異的に集積したタンパク質を介して細胞間シグナル伝達に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、従来の脂質蛍光プローブでは困難であった膜中における相互作用を精密に解析できる新たなプローブ分子の設計と開発を目的とした。 本研究では、SMの親水的な部分に蛍光標識を導入した分子プローブの合成を目指しており、前年度はSMの主骨格となるスフィンゴシン部分の効率的な合成法の確立に成功した。そこで本年度は、SMの親水性部分の構築法の確立および蛍光標識基の導入を検討した。まずSMのコリン部分については、スフィンゴシン部分の1級アルコールに対して、環状亜リン酸試薬を反応させた後臭素処理することで酸化と開環を同時に行い、最後にトリメチルアミンで置換させることで収率良く合成することに成功した。続いてこの手法を用い、後の蛍光標識基の導入が可能なジメチルプロパルギルアミンを反応させたが、複雑な混合物を与え目的物は低収率でしか得られなかった。そこで種々検討した結果、環状リン酸試薬を導入後アミンで直接開環する手法を用いたところ、目的物を収率良く得ることに成功した。さらにスフィンゴシン側の2級アルコールの保護基をTBDPS基からPMB基に変換することで、リン酸基導入後の脱保護、精製の効率が向上した。続いてアシル側鎖を導入後、ダンシル基を有するアジド化合物とのHuisgen反応を行うことで、目的とする蛍光標識化SMの合成に成功した。現在、合成した誘導体のラフト形成能の評価、およ、び異なるリンカー、標識基を有する誘導体の合成を検討している。
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