2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子プローブを用いた脂質ラフトにおけるタンパク質-リン脂質相互作用の構造基盤解明
Project/Area Number |
09F09715
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 道雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GORETTA Sarah 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脂質ラフト / スフィンゴミエリン / コレステロール / 蛍光標識 / 有機合成 / Click Chemistry / 示差走査熱量測定 / FRET |
Research Abstract |
脂質ラフトは、スフィンゴミエリン(SM)およびコレステロールを主体とする細胞膜ドメインである。また、脂質ラフトは、特異的に集積したタンパク質を介して細胞間シグナル伝達に重要な役割を果たしていると考えられている。そこで本研究では、有機合成化学的手法によりラフトにおける脂質間相互作用を分子レベルで解明することを目指した。 具体的にまず本研究では、従来の脂質蛍光プローブでは困難であった膜中における相互作用を精密に解析できる新たなプローブ分子の設計と開発を目的とした。前年度までにSMの主骨格および親水性部分の構築法を確立したので、本年度は親水性部分(コリン頭部)への蛍光標識基の導入を種々検討した。その結果、アジド基を有する蛍光標識基と、プロパルギル基を有するSM誘導体とをClick Chemistryを用いて連結することで、ニトロベンジル基およびダンシル基を有するSM誘導体の合成に成功した。今後はFRET測定や蛍光顕微鏡による解析への利用を計画している。 またさらに本年度において、ラフトにおける脂質間相互作用に対するSMの構造的要因を明らかにするため、2種類のSM誘導体の合成を行った。すなわち、まずSMのE-二重結合を三重結合に変換した誘導体を、ほぼ同様のスキームを利用することで合成した。また、3位ヒドロキシル基の立体が反転したトレオ誘導体を、亜鉛アセチリドの立体選択的付加、続くRed-Al還元によるE-オレフィンの構築を鍵反応として合成することに成功した。
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