2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外熱ショックタンパク質70-酸性脂質複合体の構造と生理学的役割の解明
Project/Area Number |
09F09722
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GARENAUX Estelle 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 外国人特別研究員
|
Keywords | 糖鎖 / 熱ショックタンパク質 / 硫酸化糖脂質 / グリコサミノグリカン / 細胞外Hsp70 / 受精 / 複合体形成 / マウス |
Research Abstract |
近年、細胞外Hsp70の役割が注目されている。我々は最近、マウスHsp70が酸性脂質と結合して高分子量複合体を形成することを見出し、この性質が細胞外Hsp70の生理機能の鍵構造となると考えるに至った。そこで本研究は、Hsp70-酸性脂質複合体の構造と機能の解明を目的として、細胞外Hsp70-酸性脂質複合体の実証、性質と構造-活性相関の理解を目指した。今年度は第一に、Hsp70複合体が酸性脂質以外の化合物でも形成されるか否かについて検討した。酸性高分子多糖であるグリコサミノグリカン(GAG)に着目し、Hsp70が複合体形成するか否かをゲル濾過法によって調べたところ、ヘパリンの他、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸などとも結合する一方、Hsp70高分子複合体形成は起こらないことが判明した。このことからGAGも細胞外Hsp70と相互作用して機能する可能性を指摘することができた。第二に、Hsp70-酸性脂質高分子複合体が、細胞外環境に存在するか否か検証した。まず、細胞表面Hsp70の存在報告があるマウスのマクロファージ系細胞RAW264を用いて、その分泌膜構造エキソソームに着目した。エキソソームを単離しHsp70の検出を試みたが、量的な問題と思われて検出することができなかった。次に、Hsp70-酸性脂質複合体の可能性としてブタの精液成分に着目した。ブタ精子には主要酸性脂質である硫酸化ガラクトース含有脂質SGGに加えてHsp70の存在が知られている。そこで精液中にHsp70-SGG複合体の有無を検索した。Hsp70のN-およびC-末端を特異的に区別する抗体を用いて調べたところ、Hsp70は精子だけでなくその他の雄性生殖器官にも存在するものの、精子Hsp70のC-末端側構造は他の器官のHsp70と異なることがわかった。今後、SGGとの複合体形成能の違いなどを調べる予定である。
|