2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国における企業集団の成立と発展: 武漢裕大華集団を事例として
Project/Area Number |
09F09730
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
城山 智子 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PENG JUANJUAN 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 企業史 / 中国 / 集団 / 紡績 / 武漢 |
Research Abstract |
本研究は、中国の有力な紡績工場の一つである裕大華紡績公司の1880年代から1960年代までの事業展開を事例として、近現代中国に於ける企業の態様を明らかにしようとするものである。本研究は、特に、裕大華が、現代中国で「集団」と呼ばれる、多業種にまたがる複数の会社の集合体のプロトタイプと看做されることに注目している。中華帝国の最後の横行である清朝から中華民国を経て中華人民共和国に至る政治体制の変化、それに伴う市場経済から統制・計画経済へという経済システムの変化の下で、企業への投資と経営がどのような変容を遂げたか、という時系列の分析を行うと同時に、日本の財閥や韓国のチョボルといったアジアの企業形態との比較から、中国の企業の特質を明らかにしていく。平成21年度、PENGは、天津を拠点とする当該時期の主要な新聞の一つであった『大公報』に掲載された広告の分析を行い、清末企業家の衛生概念に関して検討を加えた。また、武漢市文書館(中華人民共和国)で資料調査を行い、企業の経営文書を閲覧収集し、清末から中華民国を経て、中華人民共和国に至る政治体制変化の下での、企業の経営体制の変化と利益率の変動に関するデータを収集した。城山とPENGは協働し、合股や株式会社といった経営形態との比較から、企業集団の特質に関するモデルの形成を進めた。1949年を境とする企業の経営形態と利潤、更に、利益分配の態様の変遷を明らかにすることは、歴史研究と現代中国分析を繋ぐ、重要な研究テーマとなっており、本研究課題は、大きな貢献をなし得ると考えられる。
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